DaVinci ResolveとAoiSupportを使って、「音声を投げ込み中です」でフリーズする際の対処。ノンドロップフレームのフォーマットへの対応

環境

  • macOS 15.5
  • Apple M3 Pro
  • DaVinci Resolve 20.3.2
  • AoiSupport for Mac 1.1.1
  • VOICEVOX VER. 0.25.1

生じたエラー

しばらく正常に使えており、新しいプロジェクトで動画編集をしていたところ「音声を投げ込み中です」でフリーズするようになったので各種設定は済んでいる状態でした。

再現手順は

  1. DaVinci Resolve・VOICEVOX・AoiSupportを起動する
  2. 各種設定はしてある
    1. AoiDrop配置済
    2. マスターにtext, voiceを配置済
    3. 挿入トラックを作成済
  3. VOICEVOXでControl+Rを押す

で、txtファイルとwavファイルは正常に作成され、DaVinci Resolveの処理が始まるがvoiceフォルダを開いたところでDaVinci Resolveの動作が止まる(フリーズではない)。AoiSupportには「音声を投げ込み中です」の表示が出たまま応答しなくなる。

 

PC再起動・プロジェクト再作成でなぜか一度直りましたが、別プロジェクトで再発しまし、PC再起動・プロジェクト再作成で直らない状態になりました。DaVinciResolve実行速度設定を低速にしたり、挿入トラックを変更したりしても解決しませんでした。

解決策

  1. AoiSupportのAoiDropのコードを修正する
    1. 下記を参照
  2. DaVinciResolveにスクリプトを再配置する
  3. (DaVinciResolveを再起動する)

コード

フレーム変換部。151行目あたりに追加した。


-- ドロップフレームのタイムコードをノンドロップ表記へ変換
function normalizeTimecode(timecode, fps)
if timecode == nil or fps == nil then
return timecode
end
if string.find(timecode, ";") == nil then
return timecode
end
local fpsNum = tonumber(fps) or 0
local nominal = math.floor(fpsNum + 0.5)
if nominal <= 0 then
return timecode
end
local h, m, s, f = string.match(timecode, "^(%d%d):(%d%d):(%d%d);(%d%d)$")
if h == nil then
return timecode
end
local hh = tonumber(h)
local mm = tonumber(m)
local ss = tonumber(s)
local ff = tonumber(f)
local drop = 0
drop = math.floor(nominal / 30 * 2 + 0.5)
local totalMinutes = hh * 60 + mm
local droppedFrames = drop * (totalMinutes - math.floor(totalMinutes / 10))
local frameNumber = ((hh * 3600 + mm * 60 + ss) * nominal + ff) - droppedFrames
local framesPerHour = nominal * 3600
local framesPerMinute = nominal * 60
local outH = math.floor(frameNumber / framesPerHour)
local remainder = frameNumber % framesPerHour
local outM = math.floor(remainder / framesPerMinute)
remainder = remainder % framesPerMinute
local outS = math.floor(remainder / nominal)
local outF = remainder % nominal
return string.format("%02d:%02d:%02d:%02d", outH, outM, outS, outF)
end

呼び出し部(音声取り込みの直前)

 currentFrame = AoiModule.timecodeToFrame(currentTimecode, frameRate)

を下記に変更する

-- ドロップフレーム";"が混ざるとC側で止まる可能性があるため正規化
normalizedTimecode = currentTimecode
if normalizedTimecode ~= nil and string.find(normalizedTimecode, ";") ~= nil then
normalizedTimecode = normalizeTimecode(normalizedTimecode, frameRate)
end
currentFrame = AoiModule.timecodeToFrame(normalizedTimecode, frameRate)

問題の原因(予想)

動画のフレームレートには29.97fpsなどの中途半端な値があります。こうした動画ファイルのタイムコードの数え方には「ノンドロップフレーム」と「ドロップフレーム」の2種類があります。

 

ノンドロップフレームはフレームを連番でそのまま数え、30フレームを1秒として数えるため、29970枚の画像を1000秒ではなく999秒としてしまいます。この程度の時間差を気にしない用途(例えば私の作る動画)ではこの形式が多いです。

 

ドロップフレームはフレームを連番で数えず、一部のフレーム番号をスキップします(フレームではなく、フレーム番号をスキップします)。具体的には毎分(ただし10分ごとを除く)の00秒00と00秒01のフレーム番号をスキップすることで、10分(600秒*30=18000)で18つのフレーム番号をスキップします。テレビなどで使われる方式で、これにより10分ごとにタイムコードが一致します。

 

そしてこのタイムコードの表示はノンドロップフレームではhh:mm:ss:ff形式なのですが、ドロップフレームではhh:mm:ss;ff形式となり、秒とフレームの間にコロンが入るかセミコロンが入るかが異なります。

 

エラーが生じたときに読み込んだ動画のフレームレートには29:970 DFと書かれており、プロジェクト設定の[マスター設定]-[タイムラインフォーマット][タイムラインフレームレート]は29:97フレーム/秒、そしてドロップフレームタイムコードを使用にチェックが入っていました。

 

そしてAoiDropはlibAoiModule.dylibのtimefodeToFrameにタイムコードを渡しており、(libAoiModule.dylibはバイナリ形式の動的ライブラリなので読めませんが)おそらくノンドロップフレームのコロンしか対応してないのだろうと思います。

 

そこで、timefodeToFrameの結果が正しくなるようにタイムコードをフレーム数から計算し直して渡せば直ると思って実装しました。

 

他にも起きた例を聞いたのでDaVinci Resolveの仕様変更が原因かと思いましたが、関連するリリースノートが見つからなかったので私の撮影方法が変わってしまっただけかも知れません。

マンガの話数について

私のマンガ事情

私は読んだ漫画を管理しています。何月何日にどんな本を読んだのか、気になるので管理しています。

  • 単行本と読んだ日

  • シリーズの状態

    • 明確に中断する場合もあるけど、途中まで読んで放置するのは防ぎたい。

単行本と読んだ日の記録。大抵まとめて読む

シリーズの管理。完結したのに途中までしか読んでないシリーズの抽出が主な用途。

悩み

基本的には単行本・紙派の私ですが、最近は漫画を読む媒体が増えています。Web限定の全話無料キャンペーンで読むこともあれば、アプリで読むこともあります。単行本でしか得られない所有感・表紙・描き下ろしなどがあるため後日に紙で買うことも多いけど、読書記録としてはWebなどで本編を読んだ日を記録したい。

さて、今アプリで読んだ話は何巻相当なの?

使えるサービス

例えば https://comicdb.lmn.me/included-chapters といった*1サービスがあります。しかし有名なONE PIECEなどは載っている一方、読んだ漫画が載っていない場合がよくあります。例えばDOCTOR PRICEの1巻は載っていません。URLも謎です。他のサイトやAPIも網羅性が低かったり接続先が怪しかったりでいいサービスは見つかっていません。

Amazonなどの試し読みサービスで目次が無料で読める場合があります*2。紙の本であれば国会図書館待てば*3冒頭以外のデータも得られます。APIなどで構造化されたデータを手に入れられると良いのですが、残念ながら見つけられていません。

作ろう!

読書記録はJSONでつけているので、chaptersに話数の一覧を追加しました。追加方法は気合いです。本当は読む前に知りたいけど、読んだ漫画の話数を入力しているので自分のためになっているのかは謎です。自己満足でとても満足しています。

 

話数が表示できた様子

変な話数

さて、変なデータが好きなので、変なデータの話をします。

話数は整数とは限らない

「最終話」などの表記もありますが、もちろんそれ以外にもあります。

『1日外出録ハンチョウ』

おそらく単行本書き下ろしの話が157.5話とされています。週刊誌で話数が振られ、単行本でオマケを書いたら「n+0.5話」にしたい気持ちはとてもわかります。intで管理しなくて良かったですね*4

["第150話", "第151話", "第152話", "第153話", "第154話", "第155話", "第156話", "第157話", "第157.5話"]

トニカクカワイイ

305.7話という中途半端さと、317の後にある順が変。作中の時系列を表している場合などでこういうことが起きます。

["第309話", "第310話", "第311話", "第312話", "第313話", "第314話", "第315話", "第316話", "第317話", "描き下ろしオマケ305.7話"]

『お兄ちゃんはおしまい!』

むしろ0.5刻みが過半数を超える勢い

["第91話", "第91.5話", "第92話", "第92.5話", "第93話", "第93.5話", "第94話", "第95話", "第95.5話", "第96話", "第97話", "第98話", "第98.5話", "第99話", "第99.5話", "第100話", "おまけ"]

章・part

三つ目がとおる

「話」の下に「章」があります。「章」で分けられない「話」もあります。

["第39話6章", "第39話7章", "第39話8章", "第39話9章", "第40話", "第41話", "第42話", "第43話", "第44話", "第45話"]

ドミナント

["Track.11-1","Track.11-2","Track.12","Track.13-1","Track.13-2","Track.14-1"]

『微熱空間』

n+0.5刻みがさらにpartで分けられる場合もあります。

["第19話", "第19.5話", "第20話", "第20.5話", "第21話", "第21.5話part.1", "第21.5話part.2", "第21.5話part.3", "第22話", "第23話"]

漢数字

漢数字は「百五」以外にも各桁を変換する「一〇五」の表記があり得ます。それだけならいいのですが、途中から変わる場合があります。文字数を揃えたい気持ちはわかるよ…。

『メイちゃんは焼肉が恋しい』

二十の次に二十一じゃなく「二一」

["十六品目", "十七品目", "十八品目", "十九品目", "二十品目", "二一品目", "二二品目", "二三品目"]

『寿エンパイア』

百じゃなく一〇〇

["第九十九話", "第一〇〇話", "第一〇一話", "第一〇二話", "第一〇三話", "第一〇四話", "第一〇五話", "第一〇六話", "第一〇七話", "番外編②"]

特上カバチ‼』

第0話だけ算用数字

["第0話その一", "第0話その二", "第0話その三", "第0話その四", "第0話その五", "第0話その六", "第一話", "第二話", "第三話"]

『雀児』

算用数字と漢数字の混在["第六打", "第七打", "第八打", "第九打", "第十打", "第十一打", "第十二打", "第十三打", "第十四打", "第十二.5打"]

+チック姉さん

目次は第参百七拾話のように大字を使った漢数字ですが、各話冒頭では第370話のように算用数字。

ローマ数字

自動生成がめんどくさいシリーズ(典型的な話数は最初と最後だけ入力して補間したいが、実装が面倒)

『フラッサの魔女』

["Caput Ⅺ", "Caput Ⅻ", "Caput ⅩⅢ", "Caput ⅩⅣ", "Caput ⅩⅤ", "Caput Ultima"]

英語の序数接尾辞

自動生成がめんどくさいシリーズ2。first, second,…よりはマシかも。

『リアル』

["1st", "2nd", "3rd", "4th", "5th", "6th"]

その他

『テラ麺』

ほとんどは「話数 各話タイトル」と書かれるのですが、作品名でもある「テラ麺」が冠された第34話だけ逆になっています。もしかして話数が「テラ麺」でタイトルが「第34話」なの…?

34話だけ、フォーマットが違う?

展望

網羅性を高める

まだ700巻分程度しか入れてません。誤りがあるかも知れないし、基本的に読んだ漫画だけを記入しているのでWiki形式にして網羅性を高めたい。GitHubでIssueやPull Requestをもらうのが良さそう?(ISBNと話数の対応だけなら公開しても著作権的にも大丈夫かな)

アニメとの対応

  • アニメ1期を見たけどマンガではどこ相当?

  • チェンソーマン』のレゼ篇の部分の漫画を読みたい

みたいな要望に応えられません。

シリーズが変わったが話が続く場合

とりあえずISBNと話数の対応を作りたいけど、善悪の屑(第1部)→外道の歌(第2部)のような場合にシリーズの続編に移動したい

*1:謎の組織が運営している

*2:『微熱空間』など、例外はある

*3:書庫から取り出すのに20分程度かかるし一度に5冊までなので、Rate Limitは1冊4分相当。文句ではないです。こんな使い方さえ許してくれるありがたさを感じています。

*4:テニスの王子様は巻数にも40.5などがあります。それを40と41の間に置くべきかは怪しいけど

漫画の読書管理

漫画の読書記録を作っていて、漫画の階層構造が気になった。最初は完結まで読んだかの管理が目的だったが、「完結」とする基準があやふやになり、話ごとに読むアプリを使うと話が相当する巻が知りたくなったのでやりたいことが増えた。

 

漫画は基本単位の「巻」がある。その下には「話」があり、「ページ」「コマ」などがある。巻より大きな単位には「シリーズ」があるし、更にその上は名前がしっくりきていないがユニバースやフランチャイズやIPなどと呼ぶような単位もある。数話で一つの話になっているような、巻より大きいことも小さいこともある単位もある(なんて呼ぶんだろう…と思いつつ現状は管理してないし下の構造にも入れていない)。最近はアプリなどで配信する「話」より小さい単位の「チャプター*1」もある。

 

例えば名探偵コナンは、下記の様に分けるといいかなあと考え中。とはいえ読書記録としてなので、基本的に話か巻以上の単位で扱うつもり。

ユニバース 名探偵コナン
シリーズ 名探偵コナン 犯人の犯沢さん
ジン・ウォッカ編(非公式な部。1〜23巻)
1巻
FILE.1 平成のホームズ
ページ p.5
コマ ?

2025年9月現在は「巻」と「シリーズ」のみを使って管理している。ユニバース内のシリーズは、ほとんどは順が存在するリストに感じるけど順が存在しない場合もあると思う。

 

例外っぽい挙動:

  • 「HERO -逆境の闘牌」はシリーズの途中でシリーズの名前が「HERO -アカギの遺志を継ぐ男-」に変わっている
  • 薬屋のひとりごと」は異なる作画で同じ話がされている
  • 電子媒体でしか売らない場合「巻」が場合もある?
  • 巻数や話数は1刻みではなく、0.5刻みや0.3刻みなどもある

湾曲標識

湾曲標識の場所の一覧が欲しいのに見つからなかったので、見つけた物を書いておく場所

北海道
2025-07-03 41.76617306734622, 140.71504057268166
群馬県
xxxx-xx-xx 36.25852369211215, 138.89037821478664
群馬県
xxxx-xx-xx 36.393188252388704, 139.07265050272272
新潟県
2025-02-26 37.903478753034484, 139.04939339204145
長崎県
2023-10-04 32.7349885002262, 129.87305105289224
大分県
2025-03-24 33.47563601950764, 131.73140613970494
2025-03-24 33.33166886455614, 131.4935001017264
2025-03-24 33.33151438466711, 131.4933909131563
2025-03-24 33.277311959773975, 131.5062291854908
2025-03-26 33.30273909725655, 131.39228840033593

自動車は移動費を間接的にする

自分がする東京*1での娯楽はほとんど外食で、もちろん東京の外食事情は地方都市や田舎と比べて圧倒的に恵まれているものの、私は徒歩や自転車で行くことが多いので1 km圏内が多い。1 km圏内で様々な食事を楽しめるのはそれはそれで東京を活かしているのだが、それより遠い店は何年も行きたいと思っていてもなかなか行けていない。

徒歩や自転車を選ぶ理由のひとつは、電車での移動には直接お金がかかるから。地下鉄は往復で350円はかかり、約1000円の食事に追加で払うには高く感じる。私は支出が直接快楽や幸福につながって欲しいと思ってしまうので、単なる移動よりは食事にお金を使いたいと思い、近くで350円分高いものを食べてしまう。

 

自動車に乗っていると行動範囲が広がる。行ったことがなければ20 km先のロードサイドのチェーン店にも行ける。数百円で行ける明治神宮に行こうとは思わないのに、自動車に乗っていると50 km先の明治神宮と比べたら規模が百分の一くらいの神社仏閣にも行った。

もちろん自動車の移動にはガソリンは使われるし、カーシェアなら自動車自体のレンタル代もかかる。所有していたってタイヤなどの色んな部品は摩耗する。

 

自動車は移動費を間接的にする。20 km先のロードサイドのチェーン店に行ったとき、その20 km分のガソリン代をそのときに払うわけではない。摩耗した部品を20 km分交換するわけでもない*2。短絡的には移動にお金がかからないように見える。

もちろん実際にはお金がかかる。タイムズカーなら1 kmあたり20円の距離料金がかかるので往復で800円。自家用車でも最近のガソリンは175円/L程度なので、20 km/Lの燃費で20 kmの往復だと燃料代だけでちょうど350円。

それでも、その支払いが後回しであり、直接結びついていないように見えるだけで移動の心理的障壁は下がる。逆に言えば、支払いが即時的で直接結びついているように見えれば、移動の心理的障壁が上がる。

 

"合理的"に生きるなら、自動車での移動も支出を結びつけて考えるべきだと思う。タクシーのように距離や時間で料金メーターを動かすと気が散ってしまいそうだから、目的地を入れた段階でカーナビが推定燃料費を表示するシステムがいいかもしれない。高速道路の料金は出してくれるのだから、精度はともかくシステム的には容易なはず。

ただ直接結びつけて見えるようにすることで移動(費)を制限・抑制したいのではなく、他の出費の比較を容易にしたい。私は社会に対して出費して経済を回すことを求めているから、地下鉄の料金がもっと間接的になるほうがいいかもしれない*3

 

 

東京(都心)にいると家賃が高い。家賃の高さの一部は、周辺の娯楽施設の豊富さによるものだと思う。でも自分は普段周辺の娯楽施設をあまり使っていない。美術館や博物館や映画は1年に1回も行かないし、繁華街やショッピングモールにも行かない。ライブにも行かないし、そういうイベントは混雑を理由に避けるまである。

どうせ高い家賃を払っているのだから…と言うとサンクコスト効果のようだけど、永久に東京に住んでいるとも限らないし、飲食事情や物価も変わる。地下鉄で行くのが私にとって合理的かは分からないが、もう少し家から離れた飲食店や娯楽施設にも積極的に行くべきかなと思った。

 

花粉症が治まったら。

*1:自宅内を除いた都心

*2:更に言えば私が使うカーシェアは日単位での従量課金が多いので1時間追加で借りても料金は変わらない

*3:といいつつ、多くの社会人は割と地下鉄の料金は割と気軽に出している気がする。

道路交通法第二十七条の「他の車両に追いつかれた車両の義務」は、たとえ速度超過の車両に追いつかれても生じるか?

記事の要約

道路交通法第二十七条第2項の2文目「(車両は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、)最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ、かつ、道路の中央との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合において、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときも、同様とする(できる限り道路の左側端に寄つてこれに進路を譲らなければならない)。」の義務が、速度超過の車両に追いつかれても生じるかを調べてみました。

道路交通法第二十七条第2項の2文目に対し、速度超過の車両に追いつかれた場合には義務なしとする説が有力であり、義務ありとする文献は改正前の道路交通法の解説であった*1

横井大三ら義務あり…ただし改正前の道路交通法に対する解説

宮崎清文義務なしただし改正前の道路交通法に対する解説

道路交通執務研究会改正前の道路交通法に対する横井大三らを引用

浅野信二郎・一次的には義務なし

橋本裕藏義務なし

警察庁(運転免許技能試験)Webページ義務なし))

弁護士ドットコムWebページ義務なし

ロードバイクが欲しい!初心者向けナビWebページ義務なし

happeebrthdaeWebページ速度による

乗りものニュースWebページ義務なし)2023年7月に追記

ベストカーWebページ義務あり)2023年7月に追記

主観の要約

義務なしと捉える方が有力だと感じました。とはいえ「有力」や「典型的な例では義務はないだろう」であり、正解を決めるには、判例を待つべきだと思いました。

 

背景or前提(車両通行帯が設けられている場合)

要約:車両通行帯が設けられている場合、進路を譲る義務はない。

 

高速道路での追い越し車線の話であっても他の車両に追いつかれた車両の義務を持ち出す人がいます。「車線」は道路交通法の「車両通行帯」と必ずしも一致しませんが、追い越し車線がある道路のほとんどは「車両通行帯の設けられた道路」でしょう。

道路交通法第二十七条第2項は下記です*2

第二十七条 
 車両は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、最高速度が高い車両に追いつかれ、かつ、道路の中央との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合においては、できる限り道路の左側端に寄つてこれに進路を譲らなければならない。最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ、かつ、道路の中央との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合において、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときも、同様とする。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000105

特に第2項は複数の文から構成されており、文の構造からして、下記の太字部分が同じになるよう補完するのが自然でしょう。

  • 車両は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、最高速度が高い車両に追いつかれ、かつ、道路の中央との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合においては、できる限り道路の左側端に寄つてこれに進路を譲らなければならない。
  • 車両は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ、かつ、道路の中央との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合において、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときも、同様とする。

進路を譲る義務は車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除きと書かれています*3

 

例えば下記の@UMR_PhDのツイートは間違っています。

RTといっているのは直前にリツイートしている、下記の@Harus_Nicusのツイートでしょう*4

これに関しては、@UMR_PhDも下記のように「なるほど……確かにそっちは単純な話でしたね(後で追い越し車線の法的な位置付けを調べなくては)」と、納得したようです。

以上により、車両通行帯が設けられている場合については義務なしと解釈が一致している*5ので、ここからは車両通行帯が設けられていない場合だと仮定します。

速度超過している車両に追いつかれた車両の義務

要約:道路交通法第二十七条には書かれていないが、多くの資料で義務はないとされている。

道路交通法第二十七条第2項付近の解説を引用しつつ、懸念点などを書きます。

1961年 『註釈道路交通法』(有斐閣)横井大三ら
「双方の車両の現実の速度の如何を問わず、後順位の車両は、進路を譲らなければならないことになる。」

第二十七条の改正前の文献であり、現行の条文と照らし合わせる解釈には注意が必要。

1961年 『条解道路交通法』(立花書房)宮崎清文
「前車は、その追いついた車両の現実の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとする場合においてはじめて、進路を譲る義務が生ずることになるわけである。」

引き続き進行しない場合には義務が生じないが、引き続き進行した場合に義務が生じるかは怪しい書き方*6。第二十七条の改正前の文献。

(1964年 ジュネーブ条約加入関連で道路交通法改正。)

1966年 『注解道路交通法』(立花書房)宮崎清文
「追いついた車両が法定の最高速度をこえる速度で違法に走行していたとしてもなお追いつかれた車両に加速してはならない義務が生ずるかどうかという点については、若干の疑問はあるが、法の趣旨からみて消極に解すべきであろう。」

二十七条第1項の解説である*7

1966年 『体系新交通読本』(警察時報社)
「高速の車両が低速の車両のためその進路をふさがれることにより交通の円滑を阻害される結果となることを防止するため設けられた規定である」

速度超過は明示せず、ただ交通の円滑を強調*8

1967年 『註釈道路交通法 再訂版』(有斐閣)横井大三ら
「双方の車両の現実の速度の如何を問わず、後順位の車両は、進路を譲らなければならないことになる。」

道路交通法改正前の1961年と一字一句同じ。

1972年 『道路交通法とその運用』(技術書院)浅野信二郎
「同一方向に進行する車両の間に速度差があるときは、追越しまたは追抜きが行なわれる。この場合、危険を生じさせないようにする義務が一次的*9に追越しまたは追抜きをする車両の側にあることはいうまでもないが」続いて「追越しまたは追抜きをされる側についても、これらの行為が安全に行われるようにするための義務を課すことが交通の安全と円滑を図るため必要である」

速度超過の場合には一次的に後方車両(追いついた側)に義務が発生しそう*10な書き方。

2008年 『道路交通法の解説 十二訂版』(一橋出版)橋本裕藏(初版は1989年)
「本条は、連続して進行する車両のうち後続車両が制限速度以内で進行していて、先行車両に接近した場合の先行車両の義務を規定しています。」と速度超過について明確な記述がある*11

2014年 別冊判例タイムズ38(判例タイムズ社)東京地裁民事交通訴訟研究会
「適法な追越しを前提とする法27条の被追越車の避譲義務」二重追越しについての解説であるが、第二十七条全体を指している。追いつかれた車両の話は「追越し」ではないが、同様に適法な後方車両を前提としそうである。

2022年 18-2訂版 執務資料 道路交通法解説(東京法令出版)道路交通執務研究会

「進路を譲る義務は双方の車両の現実の速度の如何を問わず、後順位の車両は、進路を譲らなければならないことになる。したがって、同順位又は後順位の車両に追いつかれた場合は、その追いついた車両の速度をこえる速度で進行すれば、後車に進路を譲る義務は生じない。後車の現実の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとする場合に、初めて進路を譲る義務が生ずる」

第2項1文目の解説。また、出典は1961年(またはその再訂版)の文章であり、現行の条文と照らし合わせる解釈には注意が必要。

また、二十七条の解説として、「追いついた車両が法定の最高速度を超える速度で違法に走行していたとしても、なお追いつかれた車両に加速してはならない義務が生ずるかどうかという点については、若干の疑問はあるが、法の趣旨から見て消極に解すべきであろう。」ともある。こちらの出典は改正後である1966年の文章。

 

(2023年5月アクセス) Webページ

上記の法学者や警視監*12の書いた文献に比べると信頼度は落ちるかも知れませんが、速度超過について記述するページがいくつかありました。

なお、「27条1項については警察の執務資料で、疑問はあるとしつつ、追いついた車両が制限速度に違反している場合には適用されないとしています。
そこから考えて、27条2項について指定最高速度を上回っているときは含まれないと考えます。」

www.bengo4.com

第二十七条だけではなく、広く「優先規定」に対し、速度超過に対しては義務がないと明記。

大原則として、優先規定は適法に通行する場合を対象にするため、速度超過している車両に譲らなければならない義務はないです。

roadbike-navi.xyz

 

前車が制限速度又は法定速度で走行していれば
後車が違反してまで追越してくる事を想定しなくても良いです。
違反車両には法律は適用しないのか!?
と思考停止的に考える人がいますがそういう事ではありません。
 
(中略)

信号無視して突っ込んでくる事を想定して青信号で一時停止しますか?
この信頼の原則を27条だけ無視する事は不条理です。

(2023年7月アクセス) Webページ

逆に言えば、最高速度で普通自動車を走らせていて、後ろから同じ法定速度のクルマに追い付かれた場合、「後ろの相手と同速度か、より速く走る」ことは違法なのでできません。つまり、法定速度を超えたクルマに追い付かれても譲る義務は無いのです。

trafficnews.jp

 

たとえ後続車が法定速度以上のスピードで追いついてきたとしても道を譲る義務は生じるのだ。

bestcarweb.jp

ちなみに、「27条については某県警本部交通課と議論して、自分が制限速度の上限又は速度超過の状態だったら譲る必要は無い。との見解でした」「規制速度、法定速度を越えた車に追いつかれた場合」には発生しません」などの批判コメントはついています。

 

明記されていない解説書もその他に数冊ありました。

註釈道路交通法の「現実の速度の如何」の意図は?

要約:当時の道路交通法では優先順位が最高速度ではなかったため「速度超過の車両に追いつかれても」を意図していないだろう。当時の十八条の優先順位は現実の速度より優先されることを意図しているだろう。

 

「専門家の解説でも矛盾しており諸説あるが義務はないとする説が有力である」とするのは簡単ですが、食い違う理由は気になります。註釈道路交通法やそれを引用している執務資料にある「現実の速度の如何を問わず」を引用し、これを「速度超過の車両に追いつかれても」と解釈する人を見かけます(後述する人を含む)。

 

他の文献や文脈を無視し、この文だけを読めばそのような解釈もあり得るでしょう。しかし理由が見つかれば嬉しいですし、私は納得する理由を見つけました*13。ちなみにこれは、第二十七条第2項の解説ではありますが、1文目の「最高速度が速い車両に追いつかれた場合」の解説です*14

 

まず注意すべきは横井註釈、つまり『註釈道路交通法』が書かれた時期が1961年である点です*15。1961年の道路交通法第二十七条は現在と異なります。

第二十七条(進路を譲る義務)

車両は、車両通行区分隊の設けられた道路を通行する場合を除き、第十八条に規定する通行の優先順位が先である車両においつかれ、かつ、道路の中央との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合においては、道路の左側の寄つてこれに進路を譲らなければならない。優先順位が同じであるかまたは後である車両に追いつかれ、かつ、道路の中央との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合において、その追いついた車両が車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときも、同様とする。

『註釈道路交通法』に載っている、当時の道路交通法第二十七条

また、第十八条に規定する通行の優先順位は下記となっていました。

一 自動車及びトロリーバス

二 自動二輪車及び軽自動車

三 原動機付自転車

四 軽車両

つまり、現行のような最高速度の比較ではなく、第十八条に規定する通行の優先順位で比較していた時代です。その条文に「現実の速度の如何を問わず」と解説しています。そのため『註釈道路交通法』が書かれた時代には、速度超過を意識して「後車が速度超過していても、追いつかれたら」を意図して書いたのではなく、優先順位を意識して「後車がおそい速度で進行していても、優先順位が先ならば」を意図して書いた文でしょう*16

ということで、「現実の速度の如何を問わず」は古い条文に対して書かれた解説で、当時あった「優先順位」が高い車両には、「現実の速度の如何を問わず」譲る義務があるという解説だと思います。

 

これによれば、例えば下記の@UMR_PhDのツイートは間違っています。

 

また、私の読んだ『18-2訂版 執務資料 道路交通法解説』(下記)とは少し違っており、太字部分を抜かすミスもしてそうです*17

「進路を譲る義務は双方の車両の現実の速度の如何を問わず、後順位の車両は、進路を譲らなければならないことになる。したがって、同順位又は後順位の車両に追いつかれた場合は、その追いついた車両の速度をこえる速度で進行すれば、後車に進路を譲る義務は生じない。後車の現実の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとする場合に、初めて進路を譲る義務が生ずる(横井註釈)」

18-2訂版 執務資料 道路交通法解説

まとめ

解説は下記のように見つかった。(図は2023年8月時点の図です。)

道路交通法第二十七条第2項の各々の解釈

横井大三ら「最高速度が高い車両に追いつかれ」た場合、「進路を譲らなければならない」義務は「双方の車両の現実の速度の如何を問わず、後順位の車両は、進路を譲らなければならない」(義務あり・改正前の道路交通法に対する解説)

宮崎清文最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ」た場合、「加速してはならない」義務は「法の趣旨からみて消極に解すべきであろう。」(義務なし

道路交通執務研究会「最高速度が高い車両に追いつかれ」た場合、「進路を譲らなければならない」義務は「双方の車両の現実の速度の如何を問わず、後順位の車両は、進路を譲らなければならない」(・改正前の道路交通法に対する横井大三らの解説を引用

浅野信二郎「最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ」た場合、「進路を譲らなければならない」義務は、「危険を生じさせないようにする義務が一次的*18に追越しまたは追抜きをする車両の側にあることはいうまでもない」(・一次的には義務なし

橋本裕藏「最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ」た場合?、「加速してはならない」義務?は、「連続して進行する車両のうち後続車両が制限速度以内で進行していて、先行車両に接近した場合の先行車両の義務」(*19義務なし

警察庁(運転免許技能試験)「追いついた車両が明らかにその道路の最高速度より速い速度の場合には適用しない。」(Webページ義務なし))

弁護士ドットコム(おそらく「最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ」た場合も「最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ」も、)「進路を譲らなければならない」義務は、「指定最高速度を上回っているときは含まれない」(Webページ義務なし

ロードバイクが欲しい!初心者向けナビとても広く述べているが、「最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ」た場合、「進路を譲らなければならない」義務は、「優先規定は適法に通行する場合を対象にするため、速度超過している車両に譲らなければならない義務はない」(Webページ義務なし

happeebrthdae「制限速度未満又は法定速度未満をキープするなら(中略)義務あり」「法定速度まで速度をあげた時は(中略)義務は発生しません」(Webページ速度による

主観のまとめ

様々な記述があり、全く同じ場所を指していないとはいえ、義務なしと捉える方が有力だと感じました*20。義務ありとする横井大三の解説は、当時の法律の「優先順位」に対して書いた文であり、速度超過を意識したものではないと思ったのも要因です。

ただ、私の結論はあくまで「決められない*21」「判例を待つべきだろう」*22ですし、これは私の主観です。正解だと言っているわけではありません。

法曹三者などを気にする人がいたため、法曹三者ではない私は一応弁護士の方から3人、警察の方から2人、道路交通法に詳しいと思う友人から1人を呼び、どちらの立場の文献も見せたところ、断言しないまでもおそらく義務はないとするだろうという見解が多かったです*23

本屋や図書館を7件巡り、Webページもできるだけ中立な検索を心がけましたが、手に入った本や閲覧したWebページが偏った可能性はあります。どちらの立場でも、不足の文献があれば教えてくれると嬉しいです。値段や入手性などの問題があるので買うとは限りませんが……

誤情報(もしくは偽情報)を流すのも、他人を罵倒するのも、危険な運転もやめましょう!

 

付録

警察への問合せ

警察への問合せが法律の解釈の正解とは限りませんし、直接の問合せではありませんが、一般人の解釈よりは妥当だと思うため、見つけ次第追加してみます。

義務なし

ベリーベスト法律事務所の言及している範囲

で引用している 追いつかれた車両の義務違反とは? 反則金や罰金についても解説 には、最高速度が高い車両に追いつかれた場合の解説段階として*24、「最高速度とは、法定の最高速度であり、現実に先行車と後続車の速度がどのくらいであったかという点は関係ありません。」と書かれています。また「追いつかれた車両の義務違反を犯さないためには、制限速度を守り、前方を注視しているだけでは足りません。」と書いてあるため、追いつかれた車両の義務違反は制限速度を守ることを前提としているとも読めますし、前後の文脈からそんなことはないと思いますが、あえて文字上だけで言えば制限速度を守っているだけでは足りないから時には速度超過をした方がいいとも読めます*25

道路交通法第二十七条第2項が2文に分かれている理由

@hiroshima_potは「法律では制限速度内で走ってるのが前提だから、(中略)制限速度が違う車の場合とか、制限速度を下回る速度で走る場合について譲る義務があると書いてあるわけで。」と書いていました。しかしおそらく法律は条文を追加して対応したため2文になっただけの可能性もあります。

最高速度(制限速度)の差によって文が分かれているのは確かに不自然だと感じました。現行の道路交通法第二十七条の第2項は下記のように書かれています。(空白は比較を容易にするために挿入しました。)

  • 車両は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、最高速度が高い車両に追いつかれ、        かつ、道路の中央との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合においては、できる限り道路の左側端に寄つてこれに進路を譲らなければならない。
  •                             最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ、かつ、道路の中央との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合において、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときも、同様とする。

「最高速度が高い車両に追いつかれ」た場合には、その追いついた車両の速度よりもはやい速度で進行しようとしても義務が生じる文である。そのため、1文にまとめると意味が変わってしまうが、たとえ最高速度が高い車に追いつかれてもその車両よりはやい速度で進行するなら譲らなくていいとすれば*26、下記のように書けます。

車両は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、車両に追いつかれ、かつ、道路の中央との間にその追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合において、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするとき、できる限り道路の左側端に寄つてこれに進路を譲らなければならない。

しかしそうは書かれていないため、何らかの理由、例えば先ほどの「たとえ最高速度が高い車に追いつかれてもその車両よりはやい速度で進行するなら譲らなくていい」は間違いであるなどの理由があるとする@hiroshima_potの説だと思います。

これは私の推測ですが、その何らかの理由に、

仮の理由A「最高速度が速い車両に追いつかれた場合、追いつかれた車両が最高速度(制限速度ギリギリ)で進行してもなお追いついた車両はそれよりはやい速度で進行しようとし、それを妨害することになるから。」も考えられる。その場合、追いつかれた車両はその最高速度で走っても妨害しうるから1文目には追いつかれた車両の速度(最高速度の範囲内)にかかわらず義務が発生する。一方で2文目にはその追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときと追加されているように、その追いついた車両と最高速度が同じなのだから最高速度(制限速度ギリギリ)で進行すれば追いついた車両がそれよりはやい速度で進行しようとし、それを妨害することになる場合、追いついた車両の速度超過なのだからそれは考えなくて良い。

という理由があると推論してみました。現行の道路交通法だけを見れば仮の理由Aが正しいとは決められないがおかしくもないと感じます。ただこれに関しては、今は廃止されて道路交通法に代わった道路交通取締法施行令の第二十四条で

前車が後車よりも法*27第十六条第一項及び第二項の規定による順位が後順位でのものであるときは、前車は後車に進路を譲るために道路の左側によらなければならず、その他の時は、追越を妨げるだけの目的をもつて後車の進路を妨げる行為をしてはならない

道路交通取締法施行令 第二十四条

と書かれ、道路交通取締法第十六条では

車馬及び軌道車相互の間の通行についての順位は、左の各号の順序とする

一 緊急自動車

二 緊急自動車以外の自動車及び軌道車

三 自動車以外の車馬

  車馬又は軌道車は、前項に定める先順位の自動車又は軌道車に進路を譲らなければならない。

道路交通取締法 第十六条

と書かれていた法律を元として1960年に道路交通法を施行した際、追記したために別で書かれたと私は推測しています*28

道路交通法第一条や第七十条

要約:めたまる(@UMR_PhD)は道交法の第一条から譲る義務があると主張するが、道交法の目的は運転者の義務ではないし、「交通の安全」などから「譲るべき/譲らないべき」まで論理を飛躍させている。第七十条の安全運転の義務についても、「譲るべき/譲らないべき」まで論理を飛躍させている。第一条も第七十条も、二十七条の解釈の明確な根拠にはなっていない。

 

速度超過の車両に追いつかれた場合の義務について、@UMR_PhDは道路交通法の第一条を持ち出し、「道交法は危険防止と安全と円滑を目的としているので,違反した後続車を留めるのがそれに沿うものかということも考えると……」とツイートします。

それに対し、新たに登場した@sui__ginがリプライで「考えるとどうなるんでしょう?」と問いかけます*29

それに対し、@UMR_PhDがリプライで「第二十二条最高速度と第二十二条の二最高速度違反行為に係る車両の使用者に対する指示は知っていますが,違反車両が存在している場合でも危険を防止して交通の安全と円滑を図るということにはかわりは無いのではないですか?(違反車両が暴走している可能性があればそれを回避する責任があると思うので)」と返しています*30

それに対し、@sui__ginがリプライで「危険を防止して交通の安全と円滑を図る第一条は「法律の」目的です。これは目的既定であり、制定目的を述べる物です。運転者がそれを満たすようにする義務とは関係ないと思います。」と返しました。

そしてそれに対し、@UMR_PhDがリプライで「第七十条安全運転の義務に「道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。」とあるのでそこは関係あると思いますが」と返しています。

それに対し、@sui__ginがリプライで「もしそれを使うなら第一条を持ち出すのは不適切だし、今回の制限ギリギリで走っていて速度超過の車に追い付かれた場合は、自分が譲るためには速度超過をすることになると思いますが、それが他人に危害を及ぼさないような速度と方法なのでしょうか?」と問いかけます。

2023年5月13日の段階で、このツイートに@UMR_PhDからのリプライはありません。そのため@UMR_PhDが納得したのか、あきれたのか、はたまた見逃したのかなどは不明です。

@sui__ginの「第一条を持ち出すのは不適切」という指摘には私は同意しています。

元々の話が「自分も超過せざるをえない(2023年4月27日)」なためか、@sui__ginは速度超過の車両に追いつかれた場合に義務が発生しないように速度を出す話をしています。他の車両に追いつかれた車両の義務の中でも1つの選択肢に限ってしまっているような気がしますが、第七十条の「他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転」が「速度超過の車両に対しても進路を譲る義務」や「速度超過してまで義務を回避する義務」に直接つながるかは私にも疑問です*31

条文に書いてないならその条件はないか?それとも常識だから書いてないだけか?

要約:どちらとも言えない。今回は書いてないが条件はあるとするのが有力。

めたまる(@UMR_PhD)は書いてないから生じるという説を提示。広島鍋(@hiroshima_pot)はわざわざ速度超過している車両には義務が生じるなんて書かないという説を提示。(ネタバレすると義務は生じないとする解釈が有力であるが、条文には書いてない。)

 

というツイートがありました。このツイートはWebサイト「速度超過の車に追いつかれた場合「追い付かれた車両の義務」はない」を出典とし、さらにそのWebサイトは下記を根拠としています。

追いつかれ義務違反
2 車両通行帯が設けられていない道路の中央(一方通行となっているときは道路の右側端)との間に追いついた車両が通行するのに十分な余地がない場合に、できるだけ道路の左側端に寄ってこれに進路を譲らないとき。ただし、追いついた車両が明らかにその道路の最高速度より速い速度の場合には適用しない。

出典:運転免許技能試験に係る採点基準の運用の標準【 減点適用基準】 警察庁

これは道路交通法ではなく、運転免許技能試験での判断ですが、警察庁*32の見解*33の1つです*34

また、それに対し@UMR_PhDは下記のように「広島鍋って法律の文章をちゃんと読まずに,法律家ではない人間が適当に解釈した文章を元に他人を罵倒する滑稽な人間のオブジェですね(道交法には後続車の速度違反に関しては一切書いていない)https://t.co/8Sgps7zjHM https://t.co/0yF8cVi51f」と返します*35

megalodon.jp

ツイ消しされたそうなので念のためWeb魚拓を貼っておきます。

なお、書いてない理由に関して、@hiroshima_potは「わざわざ書いてないだけ」という説で返します。

追記

令和5年3月30日に新たに通達が改正された。そこでも

ただし、追いついた車両が明らかにその道路の最高速度より速い速度の場合には適用しない。

運転免許技能試験に係る採点基準の運用の標準 警視庁 

とあるが、

左欄第2項のただし書に該当した場合には適用しないで注意を与える。

運転免許技能試験に係る採点基準の運用の標準 警視庁

と追記された。ほとんどの注意が減点の適用を伴うのに対し、当該基準では適用がされない。適用されない理由は、同様に適用がされない項目は優先判断不良についての

進路を譲る場合に、相手車両の発進又は進行を促すため手によるサイン等をしないときは注意を与える。 進路を譲られたときも同様とする。

運転免許技能試験に係る採点基準の運用の標準 警視庁

を読むことで想像がつきやすく、これらは合法ではある(=法的には義務はない)が、あくまで運転手同士のマナーや安全のためのコツであるためだろう。

道路交通法の解説 by @hiroshima_pot

要約:広島鍋 (@hiroshima_pot)は『道路交通法の解説』から、制限速度以内での義務を規定と書いてある部分を引用した。めたまる(@UMR_PhD)と議論は平行線になった。

 

知恵袋経由ですが、@hiroshima_potは『道路交通法の解説』を引用します*36

「連続して進行する車両のうち後続車両が制限速度以内で進行していて、先行車両に接近した場合の先行車両の義務を規定しています」

道路交通法の解説

道路交通法の解説』が手に入らなかったので記述の正確さや記述の正確な位置はまだわかりませんが、両車両が制限速度以内での義務だと書かれています*37

注解道路交通法 by @Fyioon1

要約:Fyioon (@Fyioon1)は速度超過している車両に追いつかれた場合、譲る義務は「法の趣旨から見て消極に解すべき」と引用。ただし「現実の速度」についての発言は少々意味不明であり、Twitterではあるが弁護士と思われる人にも否定されている。

 

さらに新しく@Fyioon1が登場します。全てのツイートに対して言及するのは困難なので少し飛ばしていますが、@UMR_PhDが@Fyioon1に法曹三職(法曹三者の間違い?)かどうかを聞いたところです。おそらくどちらも法律の専門家ではありません*38

これも第27条第1項の解説ですが、明示的に速度超過の場合が書かれており、「若干の疑問はあるが、(中略)消極に解すべき」、つまり義務なしとすべきだろうと述べています*39。第27条第1項ではあるものの、先に@UMR_PhDが述べた第一条のような法の趣旨から見る解釈を考えるならば、第2項の最高速度が同じ車両でも、速度超過の車両に対して義務が生ずるかという点については「若干の疑問はあるが、(中略)消極に解すべき」つまり義務なしとすべきだろうとされています。

「現実の速度」の、@Fyioon1の解釈(筆者は意図がうまく読めませんでしたが読者は読めるかも知れないので載せます)

@Fyioon1は「現実の速度」と別に「法定の最高速度を超える速度」が書いてあり、「現実の速度」は法定内での速度を意味していると読むのが自然」と述べています。

現役の弁護士*40によればこの読み方は違うとのこと。

@Fyioon1は前後の文脈を強調していた一方で、@shibekemokemoの返信が3分後なので@UMR_PhDの引用のみから判断しているように思います*41が、「現実の速度」は法定内での速度を意味していると読むのが自然」ではないとのことです*42

『注解道路交通法』を読んでみたところ、「現実の速度」は「最高速度」と引き合いに出されている単語であり、「たとえ制限速度を超えようとも」より「最高速度に達していない場合でも」を意図した可能性が高いと感じました。ただ、@Fyioon1は『注解道路交通法』を引用しましたが、『18-2訂版 執務資料 道路交通法解説』が引用しているのは『註釈道路交通法』です。こちらは「現実の速度」は「最高速度」と比較的離れていて対比とまでは言えないと思いました*43

主観では、「現実の速度」が意味するところは法定速度内に限られないとは思いますが、著者が法定速度内のみを想定して「現実の速度」を使った可能性はある*44と思っています。

最高速度についてのよくある誤解

他の車両に追いつかれた車両の義務として第二十七条の第2項のみで判断しているような人が多いですが、この最高速度とは走行中の速度ではありません。

第二十二条第一項の規定に基づく政令で定める最高速度(以下この条において「最高速度」という。)

道路交通法 | e-Gov法令検索

の通り、道路交通法施行令を見ると、第十一条に

法第二十二条第一項の政令で定める最高速度(以下この条、次条及び第二十七条において「最高速度」という。)のうち、自動車及び原動機付自転車高速自動車国道の本線車道(第二十七条の二に規定する本線車道を除く。次条第三項及び第二十七条において同じ。)並びにこれに接する加速車線及び減速車線以外の道路を通行する場合の最高速度は、自動車にあつては六十キロメートル毎時、原動機付自転車にあつては三十キロメートル毎時とする。

道路交通法施行令 | e-Gov法令検索

と書かれています。自動車同士、原動機付自転車同士は「最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ」に合致します。

*1:多少の対象のズレはあるが、

*2:長いので括弧書きなどは省略しています。

*3:厳密には、車両通行帯が設けられていない道路での義務があることについて述べているだけであり、車両通行帯が設けられた道路を通行する場合に義務がないと書いてあるわけではありませんが、少なくとも道路交通法第二十七条第2項を持ち出して「義務がある」と述べるのは間違っています。

*4:

直前にリツイートしたツイート以外を「RTの人」と指すにはあまりにも時刻が離れているのでこれを指していると思いますが、もしかしたら削除されたツイートを指していたかも知れません。RTの人が誰であれ車両通行帯についての理解が間違っており、「RTの人」やそのツイートは主題ではないので深く追いません。

*5:少なくとも@D_Pliusと@UMR_PhDの間では認識が一致したはず

*6:生じそうですが。

*7:当該文献の下線部8に対応

*8:速度超過に譲れとも、譲る義務なしとも書いてない。

*9:一時的ではない

*10:速度超過していないときに、追いつかれた側に二次的に発生しそう

*11:また、「車両は最高速度が政令で定められていますから、時速六十キロメートル走行車が時速五十キロメートル走行車に追いつく場合が考えられ、また、通常、高速自動車国道以外では最低速度規制はありませんから、最高速度が時速四十キロメートルに規制された道路を時速三十キロメートルで走行することができるので、「追いつき」ということが起きます。(改段落)したがって、本条の「追いつかれた」とは、後続車両が、二十六条が規定する必要な車間距離よりも短い距離で先行車両に接近する場合を意味します。」と、追いつきの条件についてより詳細な記述もある。(2023年5月16日追記 https://twitter.com/hiroshima_pot/status/1658405691990888449

*12:浅野信二郎の経歴と思われる

*13:だからブログを書きました。

*14:2文目には「同様とする」とあるものの、あくまでこの「同様とする」は「できる限り道路の左側端に寄つてこれに進路を譲らなければならない。」であり、解説文に対して書かれている言葉ではない。

*15:再訂版が出ていますが一字一句同じです。

*16:一字一句同じなのは、現行の法律でも一字一句同じ解説が成り立つからという可能性もありますが

*17:版の差などの可能性もありますが

*18:一時的ではない

*19:閲覧したのはWebページだが、本の記載

*20:少なくとも制限速度ギリギリまで出している場合には

*21:単に情報不足などでわからないから決められないというより、専門家の中でも少なくとも文字上は意見が分かれているため決められない

*22:判例後に解釈があっていたと判明しても、罵倒は侮辱罪

*23:後述するように解釈の不一致を理由に罵倒する人がいるため匿名での紹介とします

*24:書かれている場所に注目。また、この解説は「先行車が時速40キロメートルの自動車であり、後続車が時速60キロメートルの自動車といった場面では」のように、両車両が制限速度を守った状態での解説に留まっています。

*25:誤解されたくないので二度書きますが、前後の文脈からそんなことはないと思います。あえて文字上だけで言えばの話です。

*26:これは架空の話です。

*27:道路交通取締法

*28:あくまで過去の条文からの推測であり、正しい保証はない

*29:追い越し車線の話が出て、車両通行帯が設けられている場合に話が戻りかけてしまっていますが

*30:個人的には「違反車両が存在している場合でも危険を防止して交通の安全と円滑を図るということにはかわりは無い」から「後ろの車が速度超過をしていても、回避する義務が生じる」まで論理の飛躍を感じました。

*31:ちなみに下記の@sui__ginのツイートにあるとおり「権利」ならありうると、私も思いました。

*32:道路交通法の所管

*33:警察の見解が道路交通法の正解とは限りませんが、一般人の見解よりは有用だろう。

*34:リンクが切れており出典を確かめられないのが残念です

*35:このあたりはどちらも冷静に議論できてなさそうです。先手が悪いとかじゃなくどちらも悪いと思います。

*36:@hiroshima_potが2023年5月11日に買ったようなので、数日以内に確認できるかも知れません。

*37:正確な位置がわからないので、とりあえず今までのと同様に第二十七条第1項や第二十七条第2項の1文目の解説程度として捉えています。

*38:めたまる(ごちたま).tex on Twitter: "@sui__gin 法律家ではないので法律の条文に直接あたっています(追いつかれた車両の義務違反と追い越し車線の組み合わせは正しくないので訂正します)" / Twitter

*39:私が見た『注解道路交通法』には下記のような記述もあります。

ただ、最高速度が高い車両に追いつかれた車両がそれ自身も最高速度で走行している場合には、公安委員会が法定の最高速度をこえる最高速度を定めている道路の区間を通行する場合を除き、その車両が加速することは、本稿の規定に違反するだけではなく、同時に第六十八条に規定する最高速度の遵守義務にも違反することとなろう

注解道路交通法

この記述は第二十七条第2項の今回の解釈とは外れますが、速度超過について他の本より意識している可能性があると思って取り上げました

*40:正確には弁護士かを確認できていませんが https://twitter.com/UMR_PhD/status/1651577597506236416

*41:@shibekemokemoの手元に大量の文献がある可能性もあります

*42:役職などからその発言の信頼性を決めるのは嫌いですが、本の著者 > 現役の弁護士 > 道路交通法に詳しい一般人、の順で信頼できそう程度に読みました。

*43:これは一般人的な主観です。

*44:文のみから判断できない。ただ、可能性は低そう