食費 n 万円生活の主観
元ネタは2020年11月10日のニュースウォッチ9で食費が月5万円である人が紹介されたシーンで、それへの「高すぎる」「高すぎない」「高すぎると言っている人は栄養失調な生活」「大量購入したら実現できるけど普通無理」などの反応も見た。この記事もそんな反応の一種である。
番組の内容から、奨学金の返済で困っている、25歳でひとり暮らし、家賃7.5万円から都心部に住んでいると仮定し、都心部での筆者の生活から想像した物である。
食費0万円生活 強い困窮。
無料で食べ物を手に入れるため、炊き出しや施設の期限ギリギリ非常用食品を貰う。
食費が月5万円は高い!といっている人への非難に「栄養失調になる」があるが、ここまでくると筆者も栄養失調になると思う。バランスが悪いだけでなく、筆者が最優先する熱量(いわゆるカロリー)さえも足りない段階の栄養失調。
食費が0万円レベルになれば、家賃の見直しとか生活保護とか自己破産奨学金返済免除とかをおすすめする。しかしそれは食費0万円生活ではないため、上記のようなことになる。万が一真似されるかも知れないので、合法な範囲での記事である。
食費1万円生活 大きな制限はあるが健康。
自炊出来れば、米(炊いたあと700グラムで120円)ともやし(243グラムで30円)と鶏肉(200グラムで150円)とマルチビタミンアンドミネラル(1錠15円)が毎日食べられる(31日で9765円)。
栄養素を 簡単!栄養andカロリー計算 で計算したところ、以下のようになった。
補足すると、調味料に減塩の塩胡椒を使えばカリウムも摂れる。入力できなかった葉酸も足りる。また一般人がこれら全てを満たす食生活はできていないと考えているため、多少満たさない栄養素があっても私は許す*1。完璧な食生活をしつつ「栄養失調」非難をしている人はすごいと思うが、食費にかかわらずほとんどの人に「栄養失調」非難をすべきになるだろう。
しかし食費が1万円の人が自炊できる保証はない。米を5 kg単位で買える保証もない*2。5000円程度の炊飯器と5000円くらいの貯金なら親に土下座すればもらえそうではあるが、そういう卑怯な手は使いたくない。自炊ができない場合には100円ローソンでカップ焼きそばを選べば、108円で1000kcal程度取れる。2日に3個で基礎代謝をまかなえる。熱量が得られる1日150円生活で2カ月耐えれば、1万円を貯められて上の生活にいける。炊き出しなどと併用すれば緩和できるが、一時的とはいえ栄養失調と非難される食生活だろう。
この記事に書いてあるのは、筆者が行ったことがある範囲である*3*4。
食費2万円生活 自炊すれば精神的にも健康。
米を多少まとめ買いする以外では大量購入もしないで食費1万円生活でほとんどの栄養をまかなえたため、「栄養失調」「大量購入」系の非難は反論したつもりである。ここからはどのように食や心が豊かになるかに焦点を当てる。栄養が偏った場合は適宜調整して欲しい。
自炊は面倒なだけでなく、多くの人は毎日違ったものを食べたいだろう。味気ない「完全食」をうたった粉末が人気になりつつある現代でも、同じものを食べなければいけないのは多くの人に苦痛だろう。そこで牛肉や豚肉、他の野菜、煮物や汁物などが増やそう。
米の量は変えず120円、肉を牛豚鶏の3種類で回して200グラムで平均300円(牛は400円、豚は300円、鳥は200円(少し改善))、野菜炒めセット300グラム100円、汁物はインスタントで30円ほど、100円くらいの惣菜やサラダ、マルチビタミンアンドミネラル1錠15円が食べられる(31日で20615円)。
別に野菜炒めセットでなくても良く、別で色んな野菜を買った方が割安ではあるが、ひとり暮らしで野菜の種類を増やすには使いやすいため採用。非難には「大量生産ガチ勢ならできる」という非難もあったため、多様な野菜を買って使い分けるなどの、冷蔵庫や在庫を管理する要素を排除している。
まだ他人との外食のためには食費1万円生活などの制限のある自炊を続ける必要があり、飲み会に誘われたら厳しい段階。
3日に1度の牛肉や既製品の惣菜は食費2万円生活にしては贅沢だと思うが、人間の忍耐力をあまり信じていないことと「大量生産」系非難のために取り入れた。
食費3万円生活 自炊からの解放・社会性の誕生。
スーパーマーケットの弁当300円やコンビニ弁当などの500円で1食とする生活ができる。このあたりの弁当は熱量が700kcal程が多いため、2個〜3個で1日の熱量は足りる。こういう弁当は栄養素が偏ると言われることは知っているが、反応にはこういう食生活を送っている人やこういう食生活を想像した人がいたため例に挙げた。こういう弁当にも栄養士監修の物はあるし、少し気を遣えば食費1万円程度には精神面も考慮した"健康"であるだろう*5。
また、外食が生活に取り入れられる。会社員でも弁当を持てばよいが、外食に誘われるかもしれない。外食は飲み会でない食事なら1食1000円程度だろう*6。単純計算で食費2万円生活は1食220円程度だったので差額は780円。1カ月に13回ほど外食ができる。平日全て(20回)付き合うなら差額500円で1食720円であり、多少の制限はあるが強い制限にはならないだろう。
自炊だけなら毎日1000円使える。国産の肉にこだわったり珍しい野菜や調味料も買えるようになるだろう。焼肉やステーキ(1食1000円程度)を週に1回はできるんじゃないだろうか。
また、朝からご飯を炊くのが面倒ならコンビニの惣菜パンで200円ほど使っても、大きく食費を圧迫しない。困窮からは脱却できているだろう。
しかし飲み会に参加するためには、飲み会の頻度にもよるが食費1万円生活程度の自炊も取り入れるだろう。その点で社会性は生まれつつあるがそのための犠牲は少なくなく、生活に制限を感じる段階だろう。
食費4万円生活 社会性の習熟。
メリハリにより幸福を得る段階。一様に豪華にする段階から、食費3万円の生活を基準として月に2回ほど5000円の飲み会に行ったり、毎週3000円の飲み会に行ったりできる段階だろう(もちろん飲まなくてもよい)。週に2回ほど500円のケーキを買ってもよいし、好きなものを食べるという方向性でお金を使える段階。
人からの飯や酒の誘いを断ることは減るだろうし、食費の制限により交友関係が悪くなることもかなり減ると考える。(私は他人に飯や酒に誘われることが少ないため週1程度だが、よく誘われる人は大変だと思う。)
しかしまだ飲み会やコース料理と健康的な食生活を両立するためには、まだ食費2万円生活程度の自炊を選ぶ人は多いだろう。
食費5〜6万円生活 健康的な外食の解放。
健康的に自炊をやめられる段階。外食が健康的かの判断は難しいが、自炊をしたくない・できない人でも、健康的な食事ができるだろう*7。毎日のように有機野菜にこだわった店などの健康意識では難しいかも知れないが、750円くらいの米と肉と野菜と小鉢からなる定食を継続的に食べられる段階。
1日1000円の自炊を中心とし、誘われれば気軽にちょっと豪華な外食の生活感や、朝はコンビニの惣菜パンで昼夜外食の生活感でもよい。飲食店の材料費は約3割と言われるため、月2万円の自炊を全て外食にするとこの程度になるだろう。
コンビニで食事を買うとなんだかんだ700円くらいになる人が多いだろう。単価が上がるようにコンビニは様々な戦略を使う。その結果が元ネタの月5万円だろうか。朝と昼をコンビニにしたらそれで1000円、夕飯を外食で平均800円〜1000円もこの段階である。
食費7〜9万円生活 自由な食事。
食を趣味として自由に楽しめる段階。1万円程度のコース料理に月2回ほど行き、隔週の飲み会は二次会まで(合計5000円〜1万円とする)参加できる。他も800円〜1000円程度の外食を昼夜と続けてもこの程度。食費の節約のために自炊を選ぶことも少なくなり、3万円のコースなどを除いてあまり気にせずに食事ができるだろう。この程度の食費ではまだ3万円のコースは節約の末のごほうび的な段階だが、食費が月10万円を超える世界には詳しくなく、日本にもそれほどの割合がいないと思うためこの範囲を最後に食費の増加の考察は終わる。
想像ではあるが、食費が10万円を超える大半の人(超金持ちを除く)はと酒や塩分の増加によりむしろ不健康になっていると思う。
まとめ
食費は1万円で健康を、4万円で社会性を、8万円で自由を得られるくらいだろうか。読者の多くは元ネタの月21万円より多く稼いでいると思うので、自由な食事を楽しんでいることだろう。他の趣味への傾倒により食費を削るのも楽しい生き方のひとつだろう。食費だけでは生活の質は計れないし、高い食べ物ならおいしいという単純な問題でも無い。
あとがき
食費とは何だろうか。飲み会の費用は食費だろうか。自炊に使う光熱水道費は食費だろうか。飲食店までの移動費用は食費だろうか。旅行中の食事代は食費だろうか。私は飲み会や旅行中の食事の費用は食費としているが光熱水道費や移動費は食費としていない。食品でもお土産なら交際費だし、あまり厳密に定義しないまま適宜振り分けている。その基準で今回の記事を書いたので、飲み会は食費でないと思う人などはその差額で豪華な飯を食べて満足して欲しい。
筆者は飲み物をめったに買わないが、買うなら月数千円は増えるだろうし、この記事はそういう個人の生活まに踏み込んで上記の食費1万円生活を強要するほどの強い主張でもない。
セールや半額商品などを使えばさらに安くなる。炊き出しを使うならセールも有りだと言われるかも知れないが、炊き出しは避けたいと思い、自立的かつ継続的に行える範囲を目指して書いた物である。それほどまでに食費0万円は厳しい。
現在は飲食店が危機に瀕しているため、積極的に飲食に金を使って店を救って欲しい。不織布のマスクをし、人混みを避け、アルコール消毒や手洗いをし、優雅においしいご飯を食べようではないか!
筆者について
食費が5000円未満だった月も9万円を超えた月も2020年に存在するほど食費は多岐にわたる。栄養素管理ソフトを入れて栄養素の確認をしているため、平均的な日本人よりは栄養素に対する意識は高いだろう。食費が安い月は「米・カレー・鶏肉・タマネギ・もやし・マルチビタミン」を中心とした食生活であり、むしろ食費が9万円を超えていた月の方が脂や塩分や酒を過剰に摂取した"悪い"食生活だと感じている。2020年の健康診断では血液検査の項目を含め全ての項目でA(異常なし)であり、数年に1度風邪っぽい症状を感じる程度で特に病気で苦しんでいない。
それはそれとしてほしいものリストを貼り付けておきます。味がついた肉はとてもおいしいです。よろしくお願いします。
*1:もちろん多様な食事を取ることで、慢性的な欠乏からは遠ざかるとは思う
*2:貧乏は貯金がないが故にさらに貧乏になり得るのだ。
*3:買うとすると、米や小麦は熱量効率がよい。本当に熱量だけを考えるならサラダ油を飲むことなどになるが、そこまでするなら食費0万円生活に戻った方がマシと思うため行ったこともないし書いていない。書ける文章は想像力の範囲だけなのでしかたがない。筆者は食べられる雑草に詳しくもないし、清潔(感)も重視している。
*4:元ネタでは給料が月21万円である。一般人は区別が下手なのでこれが手取りか収入かわからないが、収入だとしても年間2万円のふるさと納税で10キログラムの肉は手に入り、50日分(7500円分)は肉が手に入る。
*5:学生がやりがちな、唐揚げ弁当とか牛丼とかカツ丼ばかりだと健康に悪いのは想像できるが、気が滅入るかと言われれば全部自炊よりマシなのではないか?
*6:特にこんな生活をしている人は